見えないギタリスト。 〜 あるミュージシャンの告白

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見えないギタリスト。


私には、仲間であり、信頼する友人のギタリストがいます。
しかし彼は、時と共に光を奪われている‥着実に少しずつ、彼の目から光が奪われているのです。

そんな彼が、レコーディングの際にいいました。
普通に笑顔で、話しました…。
思ったより進行が早くって、実は色彩も感覚がわからないんだよね。
その時の彼は、恐れがあるようにも見せず、笑顔で語っていました。

その時私は、どう話していいのか、どんな気持ちでそういっているかも到底わからないまま、返す言葉も無かったのを覚えています。

哀れみ?偏見?
その言葉のいずれでもなく、彼の胸中を理解できないでいました。
そんな時、ふとわれを思い、何不自由のない、すべてが見える自分は今まで何を学んできただろうか…。

彼が私に教える演奏には、目に見えているものだけがすべてではないという思い‥。
彼の演奏には心のうちに秘めている淡くて悲しいメロディー。
そんな彼の思いを、音楽を通し、彼の思う気持ち、秘めた心が分かり合える瞬間があるのが不思議です。

彼は心の中は、自分の感じる、人には感じることの出来ないカラーでいっぱいなのだろうと思います。
人には真似できない、表現できないカラーが敷き詰められている‥。
その分、私は彼の分まで死ぬまで現実に目を見開いていこうと思いますし、自分に与えられた罪と罰なのかもしれません。

見えるということはとても幸せであり、当たり前と感じることですが、だからこそ自分達はすべてに目をそらしてはいけないのです。


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